親父殿

今日、実は仙台に帰ってきてるんだ
明日で親父殿が退職になる。

教師生活35年、子供四人を全員大学に送り出し、
さらにそのうち二人は大学院まで送り出したツワモノ。


それが俺の親父殿。
名をシゲノリという。

俺は基本的に家族大好き人間だから、親父殿に感謝もしつつ
明日開催される「離任式」に出席するために有休を使ったのでした(すんません)

久々の実家、いつもどおり玄関まで出てくるオカン
コタツ出迎える親父殿。


つい3日前は盛岡に舞台を見に来たから
ぜんぜん久しぶりじゃない。


そしてマイ姉も一緒。

家族6人のうち、4人が集った。
親父殿の最後の出勤日の前夜なのでした。

ふと脇を見ると、新聞が落ちている。
もしかして・・・、と思ってみてみると、今日はそう、この日なんだ。


先生の移動って新聞に載るんです。
退職も、転任も全部載る。
新聞見開きじゃ足りないくらい載る。


でもコレは我が家にとっては実はあまりいいアイテムじゃなかった。

40代にちょっと病気をした親父殿。
同年代では珍しく大学院まで出ているインテリさんなのに
入院しているうちに出世コースから外れてしまったようで。


三月に自分の名前が載ってない新聞を見るたびに、ちょっと憂鬱な空気が流れていたんだ
そう、特にここ10年くらいは。

息子の目から見なくてもきっとデキル男の親父殿。
あんたを出世させなかった教育委員会、ちょっと見る目がなかったね


だから今まではあんまりちゃんと見てなかった新聞、
今日はそこに親父殿の名前が載っている。

ちゃんと蛍光ペンで線も引いてありました。

しかも後で聞いたらこの新聞
いつも取ってるやつじゃないそうで、朝起きて一番に買ってきたんだって。


どんな気持ちだったのかなぁ、親父殿。

そして、さらにページをめくるとそこには姉の名前も。
家庭科の先生デビューして三年の姉様。


来月からは新しい学校に転任。


親父殿は退職
姉様は転任

きっとこの新聞、永久保存版になるのかなぁ
そんなことを思ってパチリと収めたわけで。

明日は離任式
なんか自分の親が教師じゃなくなる、っていうのはなんか不思議な気分です。
毎日学校に行ってて、行ってた親父殿。


とてつもない数の生徒を送り出してきた。


色んな生徒がいたんだよ、そういってた
色んな部活の顧問もしてた。


水泳部の顧問してるとき、確か妹と一緒に連れてかれて高校生に混じって泳いだ。
そんなこともあった。

うちのオカンが、「むかし、多分17年位前に野球部に桜井君て言うエースがいてね」なんていうと、


「太田だ」


とすぐさま訂正したり。
ちゃんと覚えてんだぁ、ちゃんと生徒のこと覚えてんだ


年とってからはめっきり囲碁部に収まったみたいだけど
最近は角が取れてきて、人気もそれなりにあったみたい。

そんな親父殿の最後の授業
それが先日あったらしい。


そのときの写真を後輩の先生が撮ってくれたみたいで、引き伸ばした物を親父殿が持ってきた。

30人くらいの生徒、しかも男ばっか、に囲まれて真ん中でスマイルの親父殿。

いいね、いい顔してるぜ!
こういう笑顔をできる60歳になれるのって先生の特権なのかもしれない。

一緒に成長して、育てて、笑って。

そういうのが積み重なってきた先生の顔、そんな顔だったかな


明日は俺も出席します。
しっかり見届けてきてやるさ、


サンキューマイ親父殿、愛してるぜ

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